【医療と法務|慢性心不全 第6回】

財産管理委任契約があったことで「家族が迷わずに済んだ話」

※本記事は想定事例です

■ 想定事例
70代女性・Cさん。
慢性心不全の診断を受け、通院治療を続けていました。

体調には波がありましたが、
比較的落ち着いている時期に、Cさんはこう話します。

「もしまた入院したら、手続きは全部あなたに任せたい」

そこで、子どもと相談のうえ、
**財産管理委任契約(公正証書)**を結びました。

■ 契約時に決めていた内容

契約では、次のような内容を整理しました。

・預金口座からの医療費・生活費の支払い
・公共料金や保険料の支払い
・入院や介護に関する契約手続き
・必要に応じた施設入所の契約補助

Cさん自身が、元気な時期に
「どこまで任せるか」をはっきり決めていたことがポイントでした。

■ 突然の再入院

数か月後、Cさんは呼吸苦で緊急入院。
治療の影響もあり、
本人による細かな判断は難しい状態になりました。

しかし、家族は慌てることなく、

・病院からの請求への対応
・定期支払いの継続
・介護サービスの調整

を、契約に基づいて進めることができました。

■ 「本人に聞けない」不安がなかった理由

家族が感じたのは、

「これを勝手にやっていいのだろうか」
「本人の意思に反していないだろうか」

という迷いが、ほとんどなかったことです。

それは、

・本人の意思が文書で明確になっていた
・公正証書という形で整理されていた

からでした。

■ 慢性心不全と財産管理委任契約の現実的な効果

慢性心不全では、

・判断能力が完全に失われていなくても
・対応する余力がなくなる

という状況が起こります。

この段階で、

「制度があるかどうか」
が、家族の負担を大きく左右します。

■ この事例が示す教訓

財産管理委任契約は、

「判断能力がなくなったときの制度」ではなく
**「判断能力はあるが、動けないときの制度」**です。

慢性心不全のように、
状態が揺れ動く病気では、
特に力を発揮します。

■ 次回予告

次回は、
慢性心不全と死後事務委任契約の必要性について、
制度解説として整理します。


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