「備えていてよかった」と家族が感じた瞬間
※本記事は想定事例です
■ 想定事例
70代男性・Eさん。
慢性心不全の診断を受けてから数年が経過していました。
病状は一進一退で、
「調子の良い時は普通に生活できる」
「悪化すると、入院が必要になる」
という状態を繰り返していました。
Eさんは、比較的体調が安定していた時期に、
・公正証書遺言
・財産管理委任契約
・任意後見契約
・死後事務委任契約
を、無理のない範囲で段階的に整えていました。
■ 最後の入院
ある日、再び症状が悪化し入院。
今回は回復が思わしくなく、
医師からは家族に対し、慎重な説明がなされます。
Eさん本人は、
会話はできるものの、細かな判断を求める状態ではありませんでした。
それでも家族は、
「どうするべきか」ではなく
「何をすればよいか」
に集中することができました。
■ 家族が感じた「迷わなかった理由」
Eさんの家族は、後にこう振り返ります。
・財産のことは、契約に基づいて対応できた
・医療費や支払いで慌てることがなかった
・遺言があったため、相続で揉める心配がなかった
・死後の手続きも、流れが見えていた
「本人に聞けない不安」
「勝手に決めてしまう罪悪感」
が、ほとんどなかったことが、
精神的に大きな支えになっていました。
■ 慢性心不全という病気が教えてくれること
慢性心不全は、
・いつ急変するか分からない
・しかし、元気な時間も確かに存在する
という病気です。
この「元気な時間」を、
・何となく過ごすか
・将来のために使うか
で、結果は大きく変わります。
■ 「備え」は、家族へのメッセージでもある
法的な備えは、
・不安を減らすための手段
・手続きを楽にするための制度
であると同時に、
「自分のことは自分で整理しておく」という、家族へのメッセージ
でもあります。
慢性心不全のように、
経過が読みにくい病気だからこそ、
そのメッセージは強い意味を持ちます。
■ シリーズまとめ
慢性心不全と法務について、全10回を通してお伝えしてきたのは、
・判断能力は「ある/ない」ではなく「揺らぐ」
・備えは「必要になってから」では間に合わない
・制度は単体ではなく、組み合わせて考える
という点です。
医療と法務は、
人生の後半において、確実につながる場面が訪れます。
そのつなぎ目を、
少しでも穏やかにするための備えとして、
このシリーズが参考になれば幸いです。
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