~雇用契約・労働時間・会社の許可をめぐる現実~
■ はじめに:「土日だけアルバイト」は簡単にできる?
「平日は会社員だけど、休日にバイトして副収入を得たい」
そんな希望をもつ人は少なくありません。
でも実は、正社員(=雇用契約)として働いている人が、安易にアルバイトをするのは法律的にも実務的にもリスクがあることをご存じですか?
本記事では、正社員が副業として「休日アルバイト」を行う際に、なぜ注意が必要なのかを解説します。
■ ① 雇用契約における「労働時間」の考え方
まず前提として、正社員は企業と雇用契約を結んでいます。
この契約は「労働時間」を前提としており、企業には以下のような義務があります。
- 労働者の労働時間を適切に管理すること
- 週40時間(1日8時間)を超える場合は**割増賃金(残業代)**を支払うこと
ところが、他社でのアルバイトも「労働時間」としてカウントされる可能性があるのです。
▼ 例えば:
正社員Aさん(本業) → 週40時間勤務
+
土曜にコンビニで8時間アルバイト → 合計48時間労働
→ この場合、企業側は割増賃金の支払い義務が発生する(可能性がある)
■ ② 「複数事業場勤務」の法的取扱い
厚生労働省は「複数の事業場で働く者」について次のように定めています。
複数の使用者に雇用されている場合であっても、労働時間は通算して管理すべき(労働時間通算義務)
つまり、本業と副業を合わせて週40時間を超えると、時間外労働とみなされることになります。
この管理が困難になるため、企業側が副業・兼業を原則禁止としている理由の一つです。
■ ③ 就業規則・兼業禁止規定の存在
多くの企業では「就業規則」において、副業を制限または禁止しているケースがあります。
| よくある記載例 |
|---|
| ・会社の許可なく他社で就労してはならない |
| ・競業行為は禁止する |
| ・労務提供に支障がある場合、兼業を制限することがある |
→ 無許可で副業をすると、服務規律違反と判断されるリスクがあります。
■ ④ 「休日なら問題ない」は通用しない?
「休日に働くんだから本業に支障はない」という考え方は、企業側・法的には通用しません。
理由:
- 疲労の蓄積 → 本業のパフォーマンスに影響
- 過重労働による健康被害 → 使用者責任が問われる可能性
- 労働時間通算義務による残業代の発生
つまり、「休日は自由」ではなく、雇用契約に基づく労務提供義務と健康確保が優先されるのです。
■ ⑤ 副業としてアルバイトをしたい場合の対応策
正社員が副業(特に雇用契約によるアルバイト)を行うには、以下の手順が推奨されます。
- 就業規則を確認する(副業に関する規定をチェック)
- 会社に事前に許可を得る(申請書や相談窓口が設けられていることも)
- 業務に支障のない時間・内容に限定する(深夜や長時間労働は避ける)
- 副業収入の申告義務・住民税の取扱いにも注意する
■ まとめ:正社員の副業=自由ではない
- 正社員は「労働時間の通算」が原則。休日のバイトでも労働時間超過とされる可能性あり
- 就業規則によって副業は禁止・制限されていることがある
- 企業の許可なく行えば懲戒対象になることも
- 法律的にも実務的にも、フリーに副業できる立場ではない
副業は自由な働き方の象徴ですが、正社員には正社員としての制約がある。
それを理解したうえで、自分に合った副業の方法を選びましょう。


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