公正証書遺言のすすめ|がんと向き合いながら考える「これから」の準備
はじめに
公正証書遺言とは、公証人が関与して作成する遺言書で、法的に最も確実な形式とされています。
とくに、病気の治療を続けながらも「家族に安心を残したい」と考える方にとって、心強い選択肢のひとつです。
私は行政書士として、そして医療に理解のある立場として、治療や療養の状況を踏まえた遺言作成のご相談をお受けしています。
病状や体調の変化がある中でも、「今のうちに準備しておきたい」というお気持ちに寄り添いながら、無理のない進め方を一緒に考えていきます。
想定事例|「治療を続けながら、家族の未来を整える」
事例:佐藤さん(68歳・男性/長野市在住)
2年前に前立腺がんの診断を受け、ホルモン療法を中心に治療を継続中。
通院を重ねながら体調管理を続け、日常生活も比較的安定しています。
主治医から「今後も経過を見ながら治療を続けましょう」と説明を受けたある日、佐藤さんはふと考えました。
「もしものときに、家族が困らないように準備をしておきたい」
奥様と二人暮らし。子どもは県外で家庭を持っています。
佐藤さんは、体調が落ち着いている今のうちに、自分の意思をきちんと残したいと考え、行政書士に相談することを決めました。
公正証書遺言を選んだ理由
佐藤さんが公正証書遺言を選んだ理由は次の通りです。
- 手書きの遺言では、形式不備や紛失の心配がある
- 公証人と証人が立ち会うため、内容が法的に確実
- 病状が変わっても、後から内容を修正・追加できる
- 公証人が自宅や病院に出張してくれるため、外出が難しくても作成可能
実際、佐藤さんは体調に合わせて自宅で手続きを行いました。
行政書士が事前に必要書類を整え、公証役場との連絡を代行することで、手続きはスムーズに進みました。
がん治療と「遺言を考える時期」
がんの治療は長期にわたることも多く、「まだ大丈夫」と感じるうちは準備を後回しにしがちです。
しかし、心身ともに落ち着いている今こそ、冷静に考え、判断できる貴重な時期でもあります。
- 通院生活に慣れ、生活のリズムが安定しているとき
- 家族と将来の話を落ち着いてできるとき
- 「今後どう生きたいか」「どう残したいか」を見つめ直せるとき
こうしたタイミングこそ、遺言作成を前向きに考える良いきっかけになります。
医療に理解のある行政書士として
医療現場の声に触れる中で、治療と生活の両立に悩む方々や、
ご家族を思う温かい気持ちに数多く出会ってきました。
そうした経験を通じて感じた「人の想い」を大切に、
行政書士として、一つひとつのご相談に丁寧に向き合っていきたいと思っています。
がん治療を続ける方が安心して法的手続きを進められるように、
- 体調や通院スケジュールを考慮した打合せ日程
- 公証人との連携(病院・在宅での作成にも対応)
- ご本人の想いを言葉にするためのサポート
など、できる限り負担の少ない形で支援していきます。
まとめ
公正証書遺言は、「死後の手続きのため」だけでなく、今を生きるあなたの意思を形にするものです。
病気と向き合いながらも、「家族のために何かを残しておきたい」という思いを整理することで、心が少し軽くなることもあります。
佐藤さんも手続きを終えたあと、
「これで安心して治療に向き合えます」
と穏やかな笑顔を見せてくださいました。
がんとともに歩む中で、法的な備えが心の支えとなるように。
その一歩を、誠実に、丁寧にお手伝いしていきたいと思います。


