相続人の1人が認知症の場合、相続手続きはどう進める?|行政書士が解説


■ はじめに

相続人の中に「認知症の方」がいる場合、相続手続きは慎重な対応が必要です。
単に話し合いができないだけでなく、法的に有効な遺産分割協議ができないため、手続きを誤ると無効になるおそれもあります。
ここでは、行政書士がその進め方をわかりやすく解説します。


■ 1. 相続手続きで必要な「遺産分割協議」とは

相続が発生した際、複数の相続人がいる場合は、誰がどの財産を相続するかを話し合う必要があります。
この話し合いを「遺産分割協議」と呼び、相続人全員の同意がなければ成立しません。

認知症の方が相続人に含まれる場合、この「同意」の判断能力が問題になります。


■ 2. 認知症の方が相続人にいると協議ができない理由

遺産分割協議書に署名・押印するには、

  • 自分が何に同意しているのか
  • 自分にどんな権利があるのか
    を理解して判断できる「意思能力」が必要です。

認知症の方にこれが欠けている場合、たとえ家族が代わりに署名しても無効となります。
したがって、まず後見人を立てる必要があります。


■ 3. 法定後見制度の利用が必要になる

認知症などで判断能力が不十分な方には、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任してもらう制度があります。
この「成年後見制度(法定後見制度)」を利用することで、後見人が相続手続きを代理して進められます。

後見人は、本人に代わって

  • 遺産分割協議への参加
  • 相続登記や銀行手続き
    を行いますが、本人の利益を最優先に判断しなければなりません。

■ 4. 後見人が選任されるまでの流れ

  1. 家庭裁判所へ後見開始の申立て
  2. 医師による鑑定(必要な場合)
  3. 後見人候補者の審査
  4. 裁判所が後見開始を決定

この過程に1〜2か月以上かかることもあり、相続手続きはその間ストップします。
早めの対応が大切です。


■ 5. 行政書士がサポートできること

行政書士は、

  • 相続関係説明図・財産目録の作成
  • 後見申立書類の作成支援
  • 後見人選任後の遺産分割協議書作成
    などの面でサポートできます。

特に「どの時点で後見手続きを始めるべきか」を整理し、円滑な相続手続きの流れを整えるのが行政書士の役割です。


■ まとめ

状況対応
相続人の1人が認知症遺産分割協議はできない
対応方法家庭裁判所で成年後見人を選任
行政書士の役割書類作成・全体の手続き整理

認知症の方が相続人にいる場合、法的に正しい手順を踏むことで、後のトラブルを防ぐことができます。
まずは現状を整理し、必要な手続きを専門家に相談することが大切です。

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