がんと向き合う中で考える「公正証書遺言」という選択
〜想いを“かたち”にする準備〜
想定事例|治療を続けながら「将来」のことを考え始めたAさん
Aさん(60代・男性)は、数年前にがんの診断を受け、現在も治療を続けています。
治療の合間の日常生活は送れているものの、
- もし病状が進んだらどうなるのだろう
- 家族に迷惑をかけたくない
- 自分の気持ちは、きちんと家族に伝わるのだろうか
そんな思いが、日に日に大きくなっていきました。
最初のうちは、
「まだ元気だから」「縁起でもない」
そう思って将来のことを考えないようにしていたそうです。
しかし、同じように治療を続けていた知人が急に体調を崩したことをきっかけに、
「元気なうちに、できることをしておきたい」
そう強く感じるようになりました。
Aさんが気にしていたのは「財産」よりも「気持ち」
Aさんが一番心配していたのは、実はお金のことよりも、
- 家族が困らないか
- きょうだい間で揉めないか
- 自分の想いが正しく伝わるか
といったことでした。
ご相談の中で、Aさんはこんな言葉を口にされました。
「ちゃんと順番も、理由も伝えておかないと、
あとで家族が悩んでしまう気がして…」
遺言書というと、
「財産の分け方を書く書類」
というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし実際には、
ご本人の気持ちを家族に伝える“最後の手紙”のような役割
を持つものでもあります。
公正証書遺言という、安心を“かたち”にする方法
Aさんが選択されたのは、公正証書遺言でした。
公正証書遺言には、次のような特徴があります。
- 公証人が内容を確認して作成してくれる
- 法的に無効になるリスクが極めて低い
- 原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がない
- 体調に配慮しながら作成日を調整できる
治療を続けながらの日々の中で、
「自分で書く遺言書に自信がない」
「あとで無効になったら意味がない」
という不安を抱えていたAさんにとって、
公正証書遺言は**「確実に想いを残せる方法」**として、心の支えにもなりました。
医療現場の声に触れる中で、感じてきたこと
医療現場の声に触れる中で、
治療と生活の両立に悩む方々や、
ご家族を思う温かい気持ちに数多く出会ってきました。
そうした経験を通じて感じた「人の想い」を大切に、
行政書士として、一つひとつのご相談に丁寧に向き合っていきたいと思っています。
私は医師ではありません。
そして行政書士としても、まだ経験の浅い立場です。
それでも、
「不安な気持ちのまま、日々を過ごしてほしくない」
「想いを残せずに、後悔してほしくない」
その気持ちだけは、誰にも負けないつもりで向き合っています。
「まだ早い」ではなく「いまだからこそ」
がんと向き合う日々の中で、
将来の話をすること自体がつらいと感じることもあるでしょう。
でも、遺言書は
「終わりの準備」ではなく、安心して“今”を生きるための準備です。
きちんと整えておくことで、
- 漠然とした不安が減る
- 家族に伝えたいことが整理される
- 残された時間を「前向きに」過ごせる
そんな変化が、少しずつ生まれていきます。


