【医療と法務|ALS 第7回】

ALSと遺言作成――「言葉で伝えられなくなる前に」

ALSは、運動機能が徐々に失われていく進行性の神経疾患です。
多くの場合、発症後も判断能力は保たれる一方で、話す・書くといった意思表現が困難になるため、
「相続」や「遺言」といった法的意思の伝達が大きな課題となります。


❖ ALSと遺言の相性――実は難しい?

ALSのように「意識が明瞭なまま身体の自由が奪われる」病気では、
自分の思いを家族に伝えたいという希望は強くあります。

しかし、下記のようなリスクもあります:

  • 口頭での遺言が難しくなる(普通方式の「自筆証書遺言」は不向き)
  • 意思があっても筆記・署名ができないと、形式不備になる可能性がある
  • 最後まで遺言できないまま亡くなり、「想い」が伝わらないリスクも…

❖ 公正証書遺言が最も安全な理由

ALS患者にとって、最も安心できる遺言方法は公正証書遺言です。

特徴は以下のとおり:

特徴説明
公証人が作成法的に有効な形式で整えてくれる
口述での意思表示が可能音声や意思伝達装置を使って伝えることができる
自署ができなくても作成可能証人2人の立会いと、公証人の確認で成立
原本が公証役場に保管される紛失や改ざんの心配がない

公正証書遺言では、ALSの症状に応じた柔軟な対応が認められています。


❖ ALSの特性を考慮した遺言作成の進め方

  1. 早期に意思を整理しておく
     └ 誰に何を託したいのか、どのような形で遺したいのか
  2. 家族と方針を共有する
     └ 誤解や争いを防ぐためにも「想い」を言葉にする時間を
  3. 公証役場や専門家に相談
     └ ALSであることを伝え、症状に配慮した手続きを選択
  4. 信頼できる証人を確保
     └ 医師や介護者と連携して、作成日当日の体調にも配慮

🔑 まとめ

  • ALS患者にとって、遺言は「伝える力」を確保するための重要な手段
  • 公正証書遺言であれば、病状に応じた作成が可能
  • 早期の準備が、本人と家族の安心につながる

ALSという病気の特性を理解し、それに合った法的準備を進めることで、
「伝えられなかった」という後悔を防ぐことができます。


🔗 このシリーズの投稿一覧はこちらから

▶️ 行政書士事務所FLW|医療と法務
https://asofficeflw.com/category/医療と法務

▶️ 長野県公正証書遺言作成サポート|医療と法務(想定事例中心)
https://will.asofficeflw.com/category/医療と法務

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です