【医療と法務|脳卒中 第2回】
判断力を失ったあとに…
~成年後見制度の基本と、申立て前に知っておきたいこと~
前回の事例では、脳出血によって本人の意思が確認できなくなったことで、
家族が「口座凍結」「手続き不能」に直面する姿を紹介しました。
今回は、そのような状況で活用される成年後見制度について、
仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
❖ 成年後見制度とは?
本人の判断能力が低下したときに、
家庭裁判所が「後見人」を選任することで、本人の権利を守る制度です。
❖ 種類と違い(法定後見)
| 種類 | 判断能力の程度 | 選ばれる支援者 | できること |
|---|---|---|---|
| 後見 | 常に判断できない | 後見人 | 財産管理・契約・介護手続き等すべて代行 |
| 保佐 | 著しく不十分 | 保佐人 | 重要な契約に同意 |
| 補助 | 一部不十分 | 補助人 | 本人同意のもとで一部の行為を代行 |
➡ 脳卒中等で**判断能力を恒常的に失った場合は「後見」**に該当することが多くなります。
❖ 申立ての流れ(法定後見)
- 申立て準備:
戸籍・診断書・財産資料の収集
(一般的には家族または専門職が支援) - 家庭裁判所への申立て:
後見の種類や必要性を審査 - 審理と決定:
医師の意見や調査官の報告を踏まえて、後見人を選任 - 開始後は、家庭裁判所の監督下で財産管理が継続
❖ よくあるご質問と注意点
Q:すぐに使える制度ですか?
➡ 審査には1~2か月程度かかります。緊急対応には向いていません。
Q:家族が後見人になれる?
➡ なれますが、**家庭裁判所が不適切と判断した場合は第三者(弁護士・司法書士など)**が選ばれることもあります。
Q:後見人になったら何をする?
➡ 通帳・契約・行政手続きなど、原則すべてに関与し、定期報告が義務づけられます。
❖ 制度を利用する前に知っておきたいこと
- 一度始まると本人が亡くなるまで原則継続します
- 家族でも「自由にお金を動かす」ことはできません
- 制度設計や申立てに慣れた専門家の支援を受けるのが安心です
❖ 任意後見との違い
| 法定後見 | 任意後見 |
|---|---|
| 判断能力を失った後に開始 | 判断力があるうちに契約を結ぶ |
| 家庭裁判所が後見人を選ぶ | 本人が支援者を自分で選べる |
| 監督が強く、自由度が低い | 本人の希望に合わせた内容にできる |
❖ まとめ|「突然の意思喪失」に備えるなら
- 成年後見制度は、判断力喪失後の最後のセーフティネット
- ただし、柔軟さには欠けるため、早めの準備(任意後見など)が理想です
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