公正証書遺言にするべきケースとは?
💡想定事例
長野市に住む I さん(82 歳・女性)。
これまでの整理を経て、遺言内容の方向性が固まりつつある I さんですが、
「自筆証書でいいのか、公正証書にしたほうがいいのか」
という点で迷っていました。
体調は落ち着いているものの、
- 近年、軽いもの忘れが増えてきた
- 書類作成や文章を書くのが苦手
- 相続人同士がやや疎遠で、不安がある
という背景もあり、公証役場で作るべきか検討することにしました。
🔍 公正証書遺言とは?
公証役場で公証人が作成する遺言書で、
もっとも確実で安全性が高い形式 と言われます。
- 法的に無効になりにくい
- 原本が公証役場に保管されるため紛失しない
- 家庭裁判所の検認が不要
- 署名が難しい人も作成できる
一方、手数料がかかる点がデメリットですが、
“安心料”として選択されるケースは少なくありません。
🧩 公正証書遺言にすべき典型的なケース
① 相続人同士の関係が複雑・不安がある
兄弟姉妹で疎遠、片方だけが親の介護を担ってきた、
再婚・連れ子がいるなど、
“相続発生後に争いが起きる可能性がある”家庭では特に有効。
👉 形式の不備で遺言が無効になるリスクを避けられる。
② 高齢・病気などで記憶・判断力の衰えが心配
医療機関での受診歴がある方や、
加齢に伴う認知機能の不安がある場合は、
公正証書の方が安全性が高いです。
👉 公証人が「判断能力の有無」を確認するため、
後で「遺言当時は判断能力がなかった」と争われにくくなります。
③ 書字が難しい、手が震える、字を書くのが苦手
自筆証書遺言は“全文自書”が原則。
書き間違い・記載漏れ・訂正ミスがよく発生し、
無効になったり、内容が不明確になることがあります。
👉 公正証書なら文章を書く必要はありません。
④ 分け方が複雑、不動産や金融資産が多い
不動産が複数ある、
相続人による調整を丁寧に指定したい、
付言事項をしっかり書きたい、
という場合は、公正証書の方が安心。
👉 公証人が内容をチェックするため、
“法律的に矛盾しない形”に整えてくれます。
⑤ 相続手続きで家族に負担をかけたくない
自筆証書遺言の場合、
相続開始後に家庭裁判所で「検認」が必要で、
数週間〜数ヶ月かかります。
👉 公正証書遺言は 検認不要 のため、
相続人の手間と時間を大きく減らせます。
🧭 行政書士からのひとこと
遺言の形式選びは、
「今の状況」と「これから起こり得ること」 を見ながら決めるのがポイントです。
- 加齢
- 健康状態
- 家族関係
- 財産の種類
- 争いの可能性
これらを一つひとつ見ていくと、
「自筆で十分なケース」と
「公正証書にすべきケース」が自然に分かれてきます。
I さんのように、少しでも不安がある場合、
公正証書遺言を検討することが、
“後悔のない選択”につながることが多いと感じます。

