「誰に、どれだけ、どう遺すか」
がん治療中に考える“現実的な相続設計”
想定事例|「妻が困らないようにしたい」その一言から始まった
Aさんは、遺言の内容を具体的に考える段階で、
真っ先にこう話されました。
「とにかく、妻が困らないようにしたいんです。」
自宅の不動産、預貯金、保険…
決して多くの財産ではありませんが、
「誰に、何を、どう遺すか」によって、
ご家族のその後の生活は大きく変わります。
配偶者を守る遺言の基本
配偶者は法律上、優先的に守られる存在ではありますが、
遺言がないと「法定相続分」で機械的に分けられてしまいます。
たとえば、子どもがいる場合――
✅ 配偶者 1/2
✅ 子ども全体で 1/2
という割合で分けるのが原則です。
しかし、
- 生活費をすべて配偶者が負担していた
- 自宅が配偶者名義でない
- 貯金が分散している
このような場合、
「割合どおりに分ける」ことが、かえって不安を生むこともあります。
公正証書遺言では、
「自宅は妻へ」
「預貯金は生活費として妻へ多く」
など、生活実態に合った分け方が可能です。
不動産がある場合の注意点
Aさんには、ご自宅の土地・建物がありました。
このような不動産がある場合、
遺言がないと「共有名義」になることがあります。
共有になると――
- 売却するにも全員の同意が必要
- 管理が面倒
- 将来的にトラブルになりやすい
といった問題が生じる可能性があります。
遺言で
「自宅は妻に相続させる」
と明記しておくことで、
配偶者は住まいの不安から解放されます。
子ども・兄弟姉妹が相続人になるケース
もし配偶者も子どももいない場合、
相続人は「兄弟姉妹」になります。
ただし、その兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、
✅ その子ども(甥・姪)が相続人になる
ということもあります。
「疎遠な親族に財産が渡ってしまう」
こうしたケースでは、
- お世話になった人に遺したい
- 配偶者の親族に遺したい
- 寄付したい
といった希望を、遺言で実現することが可能です。
「平等」よりも「納得できる形」を
相続設計でよくある誤解が、
「均等に分けないと、不公平になるのでは…」
という不安です。
しかし実際は、
✅ 同居していた
✅ 介護していた
✅ 経済的な支援をしていた
など、状況は人それぞれです。
「同じ金額」よりも、
「想いが伝わる形」での分け方こそ、
ご家族が納得しやすい相続につながります。
医療に理解のある行政書士として
医療現場の声に触れる中で、
「自分のことより、家族のことが心配」という言葉を
何度も耳にしてきました。
治療中は、身体のことだけでも精一杯です。
その中で、相続や遺言まで考えるのは、
簡単なことではありません。
だからこそ、
✅ 難しいことは、できるだけ分かりやすく
✅ 不安なことは、一つずつ整理しながら
✅ ご本人の想いを最優先に
そんな姿勢でサポートしていきたいと考えています。

