「まだ早い」は危険?
遺言を先延ばしにすることで起こること
想定事例|「元気になったら…」が間に合わなかった
Aさんのご友人であるBさんも、がんの治療を続けていました。
Bさんは以前から、
「そのうち遺言は作ろうと思っている」
と話していましたが、
- 通院や治療で忙しい
- まだ自分は大丈夫と思っていた
- 書類のことは後回しにしていた
そんな日々の中で、
あっという間に時間が過ぎていきました。
そしてある日、
体調が急変し、意思疎通が難しい状態になってしまいます。
ご家族が慌てて、
「今からでも遺言は作れないか」と相談されましたが、
残念ながら、
すでに公正証書遺言は作れる状態ではありませんでした。
遺言に必要なのは「元気」よりも「判断力」
多くの方が、
「体が元気なうちに」と考えます。
しかし実際には、重要なのは体力よりも、
✅ 自分の意思で考え、話せる状態かどうか
です。
治療の影響や薬の副作用、病状の進行により、
- 判断力が低下する
- 会話が成り立たなくなる
- 意思確認が難しくなる
ことは、決して珍しくありません。
作りたくても「作れない」現実
遺言が作れなくなると、
✅ 財産の分け方は法律通り
✅ 想いは伝えられない
✅ 手続きは家族任せ
✅ 揉める可能性が高まる
という状況になってしまいます。
Bさんのご家族は、
「一言でも、本人の希望を聞いておけばよかった」
と、悔やまれていました。
早めの遺言は「希望」であり「安心」
一方で、Aさんは早めに公正証書遺言を作成していたため、
- 家族に説明できた
- 想いを言葉にできた
- 治療に専念できるようになった
と、大きな安心を得ていました。
「もしもの時」のためだけではなく、
✅ 今を穏やかに過ごすための準備
✅ 気持ちの整理の時間
✅ 家族との対話のきっかけ
それが、遺言の本当の意味かもしれません。
医療に理解のある行政書士として
医療現場の声に触れる中で、
「もう少し早く考えていれば…」
という後悔の言葉を、
何度も耳にしてきました。
法律の話は、どうしても後回しにされがちです。
ですが、
準備をすることは、諦めることではありません。
むしろ、
「生きる時間を、大切にするための行動」
なのだと、私は感じています。

