【医療と法務|慢性心不全 第7回】

慢性心不全と「死後事務委任契約」を考える理由

慢性心不全では、
長期の療養や入退院を繰り返す中で、

・家族への負担
・死後の手続きへの不安

を本人が強く意識することがあります。

そこで検討されるのが、
死後事務委任契約です。


■ 死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、
本人の死亡後に行う事務を、あらかじめ第三者に委任しておく契約です。

具体的には、

・死亡届の提出
・火葬・葬儀・納骨に関する手配
・医療費・施設費の精算
・行政手続きの整理

などが含まれます。

遺言とは異なり、
「手続きを実行する人」を明確にできる点が特徴です。


■ 慢性心不全の方が抱えやすい不安

慢性心不全の方からは、次のような声が聞かれます。

「家族に細かい手続きを任せるのが心苦しい」
「誰に、どこまで頼めばいいのか分からない」
「急変したら、準備できないかもしれない」

このような不安は、
症状が落ち着いている時期だからこそ、冷静に考えられるものです。


■ なぜ慢性心不全と相性がよいのか

慢性心不全では、

・亡くなる時期が予測しにくい
・急変が突然訪れる可能性がある

という特徴があります。

死後事務委任契約を結んでおくことで、

・家族が「何をすればよいか」で迷わない
・緊急時でも手続きが止まらない
・本人の希望が反映されやすい

という効果が期待できます。


■ 遺言との違いと併用の重要性

死後事務委任契約は、

・財産の分配を決めるものではない
・相続人を指定するものでもない

という点で、遺言とは役割が異なります。

慢性心不全の方には、

・遺言 → 財産の行き先
・死後事務委任契約 → 手続きの実行

という形で、
併用を前提とした設計が有効です。


■ 行政書士が関われる実務支援

行政書士は、

・死後事務の範囲整理
・遺言・後見制度との整合性確認
・契約内容の文書化
・公正証書作成の調整

を通じて、
医療状況を踏まえた現実的な契約設計を行います。


■ まとめ

慢性心不全は、

「今すぐではないが、いつ起こるか分からない」

という不安と常に隣り合わせの病気です。

だからこそ、

・元気な時期に
・冷静に
・死後の整理まで含めて考える

ことが、本人と家族双方の安心につながります。

次回は、
死後事務委任契約があったことで家族が助けられたケースを、
想定事例としてご紹介します。


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