遺言書を取り巻く環境

高齢社会を迎えた現在、家族や大切な人への「想いを形にする手段」として、遺言書の重要性が高まっています。ここでは、近年の遺言書の利用状況と、その中で注目されている制度についてご紹介します。


遺言書の作成件数

法務省の統計によると、遺言書の作成件数は年々増加傾向にあります。特に、公証役場で作成される「公正証書遺言」は、毎年約11万件以上作成されており、相続を「争族」にしないための有効な手段として利用されています。


公正証書遺言

公証人が関与して作成する遺言書です。
メリットは以下のとおりです:

  • 形式不備がなく無効になりにくい
  • 原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配がない
  • 家庭裁判所の検認が不要

費用はかかりますが、内容の正確性と安心感から選ばれることが多く、近年は認知症リスクを見越して早期作成する方も増えています


自筆証書遺言

遺言者が全文を自書して作成する形式です。費用がほとんどかからず手軽に作成できる点がメリットですが、形式の不備や紛失のリスクがあり、検認手続きが必要です。


自筆証書遺言の保管件数

2020年7月から、法務局による自筆証書遺言保管制度がスタートしました。これにより、自筆証書遺言も安全に保管することが可能になり、利用者が徐々に増えています。制度開始から3年で、保管件数は累計で10万件を超えました(2023年末時点)。


遺言書の検認件数

遺言書のうち、特に自筆証書遺言などは相続開始後に家庭裁判所での検認が必要です。検認とは、遺言書が改ざんされていないか確認する手続きであり、遺言の内容に法的な効力を与えるものではありません。

家庭裁判所の統計では、検認の申し立て件数は年間約3万件前後で推移しており、遺言書を残す人が確実に増えていることがわかります。


まとめ

遺言書の作成は、今や「終活」の一環として広く認知されつつあります。
将来の相続トラブルを未然に防ぎ、大切な人への意思をしっかりと伝えるためにも、法的に有効な遺言書を早めに準備することが重要です。

当事務所では、公正証書遺言・自筆証書遺言の作成支援を通じて、皆さまの「想いの整理」と「安心」のお手伝いをしています。ご相談はお気軽にどうぞ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です